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100周年メッセージ

Message

2026(令和8)年、東京都美術館は開館100周年を迎えます。当館の誕生には、九州の実業家・佐藤慶太郎の多額の寄付がありました。石炭業で得た財を惜しみなく提供し、1926(大正15)年、わが国初の公立美術館が誕生したのです。
佐藤は美術館だけでなく、困窮者の救済や学校設立、食生活・農村の改善、女子教育の向上など、人々が「より良く生きる」ための活動に私財の多くを捧げました。彼が望んだのは、今日でいう「ウェルビーイング」の実現でした。その精神こそ、当館が受け継ぐべき使命の原点であると、私たちは考えています。

2012(平成24)年のリニューアルに際し、私たちは「アートへの入口」となることを使命として掲げました。新たな価値観に触れ、自己と向き合い、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築く。そして「生きる糧としてのアート」と出会う場となり、「心のゆたかさの拠り所」をめざす、というものです。

それから10余年、人間の表現の多様性に目を向けつつ、人と作品、人と人とをつなぎ、創造的な時間が育まれる場となるよう、独自のテーマによる企画展やアート・コミュニケーション事業を進めてきました。しかし、その歩みはまだ道半ばにあると感じています。
21世紀の社会は100年前とは大きく姿を変え、テクノロジーは想像を超える発展を遂げました。それでも世界は多くの問題を抱え、人々の分断も後を絶ちません。物質的な豊かさだけでは幸福は保証されず、生きるうえでの確かな支えが問われています。
私たちは、アートこそが「より良く生きる」ための確かな支えになると信じています。人間への信頼を育み、希望を灯し、困難な時代にも世界の可能性を示してくれる力があるからです。アートは、これからの社会にとってますます不可欠な存在となるでしょう。

佐藤慶太郎の「願い」を継承し、あらゆる人にとっての「アートへの入口」となり、「生きる糧としてのアート」の魅力を実感いただける美術館を目指して、私たちはこれからも歩みを続けてまいります。