キッズデー

キッズデー

キッズデー

普段は休室日の月曜日を特別に開室する、こどものための特別な日「キッズデー」。
こども専用の日だから、リラックスしながら展覧会を楽しんでいただけます。
こどもたちが楽しめるプログラムもいっぱいご用意しています。さあ、東京都美術館のキッズデーに行こう!

キッズデーのご案内

「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」では、以下の日時にキッズデーを開催します。
中学3年生までのみなさんにミュージアム・キットをプレゼント(先着1,000名)のほか、さまざまなプログラム(一部事前申込)を開催します。

開催日時

2017年7月31日(月) 9:30~16:00(最終入室は15:30まで)

対象

中学3年生以下のこどもとその保護者
※ただし、小学3年生以下の方は保護者同伴での入室をお願いします。高校生以上の方のみでの入室はできませんのでご注意ください。

観覧料

「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」の観覧料に準じます。
※中学生以下は無料。高校生以上の保護者の方は、観覧券(前売券・招待券も可)が必要です。館内で当日券の販売を行います。
※観覧券の半券(使用済み)では入室いただけません。
※企画展「杉戸洋 とんぼ と のりしろ」は休室日のためご観覧いただけません。

参加方法

キッズデーの参加申込は不要です。開催日時にご来場ください。
※ただし、開催プログラムの一部(プログラム3、4)では事前申込が必要です。

特別プレゼント

キッズデーにご来場いただいた中学3年生までのみなさん(先着1,000名)に、ミュージアム・キット「きみもコレクター!」をプレゼントします。美術館の展示室をイメージした専用の台紙に、自分で選んだ作品シールを並べて貼ると、自分のコレクションを展示する美術館を作ることができます。

キッズデーのご案内

開催プログラム(一部事前申込) 参加無料

プログラム1
ミュージアム・キット
「きみもコレクター!」を
10倍楽しむ方法。

当日受付(事前申込不要)

ミュージアム・キット「きみもコレクター!」の使い方や楽しみ方を伝授するプログラム。
さあ、きみもアート作品のコレクターになったつもりで展示室をめぐってみよう!
(活動めやす時間:約1時間)


受付時間
9:30~15:00
対象
3歳~中学3年生

※当日配布の「ミュージアム・キット」お持ちの方を対象としたプログラムです。

プログラム2
とびらボードでGO!

当日受付(事前申込不要)

展示室で本物の作品をスケッチして、自分だけのオリジナルポストカードをつくってみませんか。
磁気式のお絵かきボード「とびらボード」に描いた絵をとびラーがポストカードに仕立てます。
最後に色をつけたらできあがり!! 特別な1日の思い出をお持ち帰りください!


受付時間
9:30~15:30
対象
3歳~中学3年生

※「とびらボード」は、開室時間中(9:30~16:00)にご利用いただけます。

プログラム3
とびとびスペシャル
ボストン美術館

抽選・要事前予約

都美(とび=東京都美術館)で、とびラーと一緒に過ごす時間を楽しんでみませんか。
アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)は、美術館を楽しむ達人です。「ひとりでこどもを連れて行くのは不安…誰か美術館をよく知る大人がこどもと友達のように一緒にいてくれたらなぁ」という願いを叶えます!障害の有無に関わらず、どのこどもにもアート・コミュニケータが寄り添い展覧会を楽しみます。


開催時間
①10:30〜12:00(受付開始10:15)、②13:30〜15:00(受付開始13:15)
対象
幼稚園/保育園年長(5歳)〜中学3年生
定員
各回5組(予約申込多数の場合抽選)
予約申込締切
2017年7月17日(月) 23:59
受付終了【①10:30〜12:00の回】
受付終了【②13:30〜15:00の回】

プログラム4
ベビーといっしょに
ミュージアムツアー

要事前申込

赤ちゃんと一緒でも安心して美術館を楽しめるよう、アート・コミュニケータが展示室での作品鑑賞に付き添うプログラムです。授乳室などの施設設備のご案内もいたします。赤ちゃんとゆったり美術館体験を楽しみませんか。


開催時間
10:30〜12:00(受付開始10:15)
対象
0歳〜4歳程度(ベビーカーに乗る乳幼児)とその保護者
定員
5組(予約申込多数の場合抽選)
予約申込締切
2017年7月17日(月) 23:59
受付終了

レポート

「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート

  • 「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真1

    ©中島佑輔

    2017年7月31日(月)、東京都美術館(以下、都美)で「夏休みの特別な1日 キッズデー」が開催されました。「キッズデー」は普段は休室日の月曜日を特別に開室する、子どものための特別な日です。子供専用の日だから、大人に気兼ねせず、リラックスして展覧会を楽しめるという、なんとも贅沢な1日。楽しめるプログラムもいっぱい用意されているのです。(東京都美術館での特別展の観覧料は、中学生以下は無料)

    キッズデーの対象は中学生以下の子供とその保護者。一部のプログラムを除いて申し込みは不要です。今回のキッズデーは「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」のプログラムとして開催され、子供たちはこの展示をみながらアートに楽しむことができます。

    キッズデーは「子供たちとそのご家族がリラックスして美術館を楽しむ日」とすることが目的(稲庭彩和子学芸員、アート・コミュニケーション担当係長)。それが実現する1日となったでしょうか。暑かった1日をレポートします。

    ●準備から開館まで大わらわ

    当日は、前日までの曇り空とはうって変わってよく晴れ、朝から暑い日でした。上野駅の公園口から出て都美へ向かう道のりは、他の美術館・博物館が休館しているためか、いつもより人影がまばらに思えます。それでもちらほらと観光客らしき姿が見えるのがなんとも上野公園らしいところです。

    9時前になると、アート・コミュニケータのみなさんが都美に集まってきました。アート・コミュニケータ(愛称とびラー)とは東京都美術館を拠点に活動しているアートを介して人々を繋ぐスキルとマインド持つ方々です。そしてスタッフ全員で9時からキッズデー運営の直前の打ち合わせ。もちろん皆さん真剣な面持ちです。アート・コミュニケータをはじめ、美術館スタッフや夏休みの研修で派遣された学校の先生方を含め、総勢約80名が今回のキッズデーのスタッフとして活動します。15分ほどのオリエンテーションののちに、それぞれの配置にみなさん散らばっていきました。楽しそうにしている人、緊張の面持ちの人、さまざまです。

    息つく間もなく、9時半になり、開門とともに親子連れが入ってきます。「走らない」などと書かれたパネルはかわいらしいイラストが特徴的で。これは素晴らしい工夫です、ぜったい走ったりしません。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真2

    ©中島佑輔

    先着1000名の中学3年生以下の来場者にはミュージアム・キット「きみもコレクター!」がプレゼントされます。これがキッズデーの目玉の一つです。展示室に入る前のスペースにこのキットの使い方を伝授するプログラムが開催されており、展覧会を子供でもじっくり楽しめる仕掛けとなっています。

    こうして、16時までの長くて短いキッズデーは幕を開けたのでした。

    ●多彩な4つのプログラムを紹介

    今回のキッズデーでは、4つのプログラムが用意されていました。それぞれの概要をご紹介します。

    ・プログラム1 ミュージアム・キット「きみもコレクター!」を10倍楽しむ方法

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真3

    ©中島佑輔

    ミュージアム・キット「きみもコレクター!」の使い方や楽しみ方を伝授するプログラム。「アート作品のコレクターになったつもりで展示室をめぐってみよう!」をコンセプトに、自分の美術館づくりをテーマにして展示を楽しむ方法が伝授されます。

    ・プログラム2 とびらボードでGO

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真4

    ©中島佑輔

    展示室で本物の作品をスケッチして、自分だけのオリジナル・ポストカードをつくります。磁気式のお絵かきボード「とびらボード」に描いた絵をアート・コミュニケータがポストカードに仕立ててくれます。最後に色鉛筆で色をつけることもでき、自分だけの、世界に1枚だけのポストカードが出来上がります。

    ・プログラム3 とびとびスペシャルボストン美術館(事前申込制)

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真5

    ©中島佑輔

    “美術館を楽しむ達人”アート・コミュニケータが子どもに寄り添って展覧会を楽しみます。「ひとりでこどもを連れて行くのは不安…誰か美術館をよく知る大人がこどもと友達のように一緒にいてくれたらなぁ」という保護者の願いを叶えます。

    ・プログラム4 ベビーといっしょにミュージアム(事前申込制)

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真6

    ©中島佑輔

    赤ちゃんと一緒でも安心して美術館を楽しめるよう、アート・コミュニケータが展示室での作品鑑賞に付き添います。授乳室などの施設設備の案内も。赤ちゃんとゆったり美術館体験が楽しめます。

    このように、4つの至れり尽くせりなプログラムが用意されているキッズデー、実際にはどんな様子だったのでしょうか。それぞれのプログラムの様子をお伝えします。

    ●自分だけの美術館づくりに夢中!ミュージアム・キット「きみもコレクター!」を10倍楽しむ方法

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真7

    ©中島佑輔

    展示室入口で配布された「ミュージアム・キットきみもコレクター!」の使い方や楽しみ方を伝授するプログラムです。透明な袋の中に展示作品のシールや、それを貼る展示室の壁を模したカードが入っています。

    一度に15人が座れるよう、イスが展示室前に用意されており、そこに座って、アート・コミュニケータからキットの説明を受けます。キット受取り後はすぐに展示室に向かう子どもが多いのではないかと思いきや、プログラム用の15名の席は開場とともにすぐに満席に。アート・コミュニケータのなめらかな説明に子どもたちが聞き入っていました。
    「コレクターとはなにか」「他の人にも自分が集めた美術品を見てもらおう」「自分だけの小さな美術館を作ろう」などが主な趣旨ですが、さまざまな美術品が集められているボストン美術館の特徴や展覧会のテーマとも上手にマッチしていて、興味深い企画です。
    コレクターへのスタートは、壁に張り出された20の作品カードから3つのお気に入りの作品を見つけること。見つけたらその本物の作品を探しに展示室へいきます。作品をじっくり見て帰ってきたら美術館の展示室内に見立てた白いカードに、選んだ作品シールを貼り、自分のオリジナルの展示を考え展示室を作っていくという趣旨です。

    子供たちが自然な形で作品をじっくり見られるようにする仕組みがこのワークにはあるようです。例えば展示室に出発する前に作品のカードを見て自分が見たい作品を3点決めることで、子供はたくさんの作品から3点をまずはじっくり見ることに集中できるようになります。また、それぞれに配られたワークシートは、各会場で作品を探しやすいようにレイアウトされていて、とても親切です。LBFはオレンジ、1Fは青、2Fは緑と色分けされているので、きっと見つけやすかったことでしょう。
    子供たちは、じっくり作品を見て、お気に入りポイントなどをボードに書いて帰ってきます。戻ってきたらシールと美術館になるシートを使って自分だけの美術館を作ります。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真7

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真8

    ©中島佑輔

    このプログラムに参加したい子供は終日絶えず、15席ずつのコーナーはずっと満席でした。練馬区から中学生と小学生のお子さんと訪れた母親は「美術館に行く宿題があったので来てみました」とのこと。まだ7月最終日。そんな学校の夏休みの宿題にも役立つキッズデーでした。

    ※なお、用意された1,000セットはお昼ごろには配布が終了しました。

    ●世界に1枚だけの芸術作品を作ろう とびらボードでGO!

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真10

    ©中島佑輔

    展示室前で、磁気式のお絵かきボード「とびらボード」が貸し出され、好きな作品をみつけたら絵の前でスケッチすることができ、さらにそのお絵描きボードの絵をアート・コミュニケータがポストカードに印刷してくれるというプログラム。印刷された画面はモノクロですが、色を塗るコーナーも準備されているので、子供たちは絵の色を思い出しながら彩色することができます。特別な1日の思い出がオリジナルのポストカードになって、お土産として持って帰ることができます。
    このプログラムは大人気で、200枚用意されたボードは、かわるがわる使用され、ずっと貸出中となりました。また印刷するブースも行列ができるほどでした。

    展示室に入ってすぐの場所で描き始める子供が多く、エジプトの彫刻が人気。そのほかにも、壮大な中国美術の模写に挑戦する子供や、水墨画を選ぶ子供もいて、個性豊か、趣味広しです。大きな屏風を描いたり小さなお皿を選んだり、本当に様々ですがどの子もみんな一生懸命です。日本美術も人気で、花魁を描く小さな男の子の姿も見られました。
    今回の展示の目玉でもあるゴッホの《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》はもちろん大人気。現代美術の部屋で、村上隆の大きな絵を描く子供もいました。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真11

    ©中島佑輔

    色鉛筆での色塗りでそれぞれが思い思いの色を選んでおり、既成概念にとらわれない子供のアート心がしっかり表れており、印象的でした。そのままのびのび育ったらよいな、と願わずにいられません。

    ●ベビーといっしょにミュージアム

    赤ちゃんと一緒でも安心して美術館を楽しめるよう、アート・コミュニケータが展示室での作品鑑賞に付き添うプログラム。対象は0歳〜4歳程度(ベビーカーに乗る乳幼児)とその保護者で、事前募集された5組が参加しました。東京都美術館では、普段から5台のベビーカーを貸し出していますが、キッズデーならではの企画としてツアーを行います。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真12

    ©中島佑輔

    ベビーカーに乗った男の子(7か月)とお母さんには、二人のアート・コミュニケータが同行しました。最初はベビーカーから静かに見ていた男の子でしたが、途中ですこしぐずりだし、ベビーカーを離脱。お母さんの抱っこひもに変更しました。空になったベビーカーはひとりのアート・コミュニケータが引き受け、ほかの鑑賞者の妨げにならないように移動します。もうひとりのアート・コミュニケータはお母さんと男の子とお話。お母さんもひとりで泣き出した子どもに対応するよりも、きっと心強かったことでしょう。
    そのうちに眠り出した男の子を抱え、お母さんはすこし急ぎ気味ではありますが、見たい作品を堪能。すやすや眠る男の子、なんともかわいらしい姿です。ベビーカーは途中から利用しませんでしたが、抱っこされてお母さんの目線に近い位置で美術作品を見たのは良かったかもしれません。アートが好きだというお母さんからも「助けてくれる人がいて助かった」との感想があり、赤ちゃんと一緒に美術館を楽しめるツアーになったようです。子育て中の親が展覧会を楽しむには託児サービスに赤ちゃんを預けるという選択肢もありますが、赤ちゃんと一緒に楽しめる時間をもてるのがこのプログラムの特徴です。

    ●最強チームで展示へGo! とびとびスペシャルボストン美術館

    アート・コミュニケータが寄り添い展覧会を楽しむ「とびとびスペシャルボストン美術館」は午前と午後の2回行われ、各回5組ずつが参加しました。美術館の正面入口で待っている担当のアート・コミュニケータと対面すると、まずはアートスタディルーム(以下、ASR)に案内され、都美の学芸員の稲庭さんよりプログラムの説明が行われます。その後、グループごとにテーブルに集まり、自己紹介など、各グループに2~3人が配置されるとびラーのみなさんと参加者が会話をします。まじめに説明をする人、面白おかしく話す人、考えさせる人、各コミュニケータのコミュニケーションのとり方もそれぞれ。この時点ですでにグループにそれぞれの特色が出ていておもしろいです。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真13

    出発前の緊張の時間

    準備ができたらさっそく展示室へ。ASRに残るアート・コミュニケータたちが笑顔で送り出します。練馬区から来た4年生の女の子とお母さんは「あっきーさん」「そのじゅんさん」「ゆうこさん」の3人のアート・コミュニケータとの5人グループになりました。女の子は「Museum Start あいうえの」のワークショップへの参加をきっかけに、今回のキッズデーにも参加したとのことです。

    5人は一緒に展示室へ。女の子は動きが自由で、作品を順番にひとつひとつ見ようとはしませんが、アート・コミュニケータたちはそれをとがめたりはしません。女の子の思うままに見せ、女の子の発する一言一言にしっかりと耳を傾けてくれます。

    女の子は《棺台の脚》の前で足を止め、とびらボードに絵を描き始めました。展示ケースに近よって、後ろのほうも細部までよく観察して一生懸命描き続けます。見守る大人4人、気の済むまでじっくりと描く時間をとりました。描きあがった作品は素材の質感がよくわかりとても上手です。真ん中に最初の絵を描きましたが、両側にもほかの作品を配置しました。素晴らしいオリジナルです。

    しかし、女の子が熱心に描くあまり、とびらボードの印刷の時間に間に合わない可能性が出てきたため、アート・コミュニケータのうちの一人が女の子のボードを預かり、印刷の列へ。女の子は安心してまた次の作品を見ます。本当にいろんなことに興味があるようで、喜多川歌麿の《三味線を弾く美人図》に書かれたくずし字(寄せられた謡)を読むのに挑戦していました。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真14

    熱心な背中

    ゴッホの《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》の作品の前に来ると、手に青色の絵具が使われていることに着目。その観察眼には脱帽です。また、ドガの《腕を組んだバレエの踊り子》の絵では「背景が赤いから怒りを表しているのでは?」と推測。鋭い観察眼を持っていて、アート・コミュニケータたちもお母さんも感心しきりでした。

    じっくりゆっくり展示室をひと回りし、完成したポストカードを受取りました。この後ASRに帰ってアルバム作りをします。ここにはグループのアート・コミュニケータからのメッセージも寄せられ、とてもよい思い出になったようです。一緒にまわった5人での記念写真も撮影してお別れ。5人の夏のよい思い出と、お父さんへのお土産もできたようです。アルバムには、先ほどの歌麿の絵に書かれていた文字もいくつか書いていました。いつか読めるようになるといいですね。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真15

    力作です

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真16

    閉室時刻の16時まで、展示室入口横での「きみもコレクター!」の美術館づくりはにぎわっていました。シールの周りに豪華な額を描いて飾ったり、作品シールの並べ方に工夫を凝らしたり、1,000人のコレクターが1,000種類の美術館を作る、こんな日は世界でもめずらしく、キッズデーの楽しさ、すばらしさを感じました。

    「夏休みの特別な1日 キッズデー」レポート 写真17

    ●キッズデーを振り返って

    今回のキッズデーには約2300名が来場しました。
    キッズデーを終えて稲庭さんは「予想の倍以上の子供とその保護者の方々が参加してくださり、アート・コミュニケータによる複数のプログラムを楽しんでいました。2300名の親子というと会場内がかなり賑やかであることを想像するかもしれませんが、子供たちは大人が想像する以上に真剣に、落ち着いて作品を見ていました。」とのこと。

    キッズデーを通して印象的だったことがあります。それは、アート・コミュニケータの振る舞いの「ちょうどいい」かんじです。多くの美術館や博物館には、展示解説のボランティアの方がいます。どこでも、みなさん、一生懸命に活動されていると思うのですが、話しかけられた時に「ちょっと今は自分一人でみたいな」とか「そこは聞きたいところじゃないな」と思うことがあります。だまって作品に対峙したい時、間違っていてもいいから、正さずにただ感想を聞いてほしい時。順路とは違うけれど、先に見たいもの、先に進むより一度戻って見直したいもの……。展覧会の担当学芸員さんの思いは汲みつつも、来館者一人一人の「こうしたいな」という思いがあり、ボランティアの方の好意を遠慮してしまう時もあります。それは洋服屋さんで、店員さんに「ご自由にご覧ください」といわれて、かえって見づらくなってしまうのと似ているかもしれません。

    けれど、東京都美術館のアート・コミュニケータのみなさんは「こっちへ」「これはこうなの」と指示や解説はせず、鑑賞者の気持ちに寄り添い伴走をしています。適度に声をかけて、手を差し伸べてくれます。それは子供を伸びやかにするのはもちろん、大人にとってもとてもありがたいことです。ここまで上手にできるようになるために、どんなにトレーニングされたのだろうかと、1日中にこやかにされていたアート・コミュニケータのみなさんの笑顔の裏にある努力に、ただただ頭が下がる思いです。

    赤ちゃんはぐずっていなかったし、子供たちはやんちゃ過ぎなかったし、みんなアートを通じて、何かを得たようでした。
    稲庭さんは来年(2018年)以降について「今後もキッズデーは夏の時期などに実施していきたいと計画しています」と語ります。
    ゴッホの郵便配達人は展覧会の終了とともには都美からはいなくなるけれど、この日受け取ったたくさんのアートへの思いを配達して、またどこかでその返事を受け取ってくれるはずです。この日キッズデーに参加してとびらを開いた子供たちが、将来は自分の子供を連れてきてくれるように、アートはいつまでも残って、不朽のものとしてぐるぐるめぐるでしょう。

    文・近藤智子(アートライター)

【キッズデーに関するお問い合わせ先】
東京都美術館 アート・コミュニケーション係 キッズデー担当
TEL:03-3823-6921(代表)(平日9:30~17:30)
FAX:03-3823-6920
E-mail:acinfo tobikan.jp