画家の眼とモティーフのあわいにある世界に魅せられた伊庭靖子(1967-)は、触れたくなるようなモティーフの質感やそれがまとう光を描くことで、その景色を表現し続けてきました。自ら撮影した写真をもとに制作するスタイルは変わりませんが、近年、それまで接近していたモティーフとの距離が少しずつ広がってきました。空間や風景への関心が高まり、まわりの風景が広がることで、伊庭の絵画は新たな展開を見せています。
東京都美術館で撮影した写真をもとにした絵画をはじめ、版画、さらに新たな試みとして映像作品を発表します。伊庭の個展は、2009年の「伊庭靖子──まばゆさの在処──」(神奈川県立近代美術館)以来、美術館では10年ぶりの開催となります。本展覧会では、近作・新作を中心に紹介しながら、そこに至る以前の作品も併せて展示することで、この10年の変化とともに伊庭靖子の変わらない関心の核に迫ります。
本展の開催が決まった2016年春から、伊庭は3年余の時間をかけて準備を行い、本展では、絵画、版画、映像の新作を中心に展示します。伊庭の絵画は、一貫して自ら撮影した写真をもとに制作されます。本展には東京都美術館で撮影した写真から描いた絵画も出品します。前川國男が設計した建築に漂う光が、伊庭のレンズと手を通して生まれ変わります。
大学で版画を専攻した後、しだいに絵画に軸足を移し、制作活動を続けてきた伊庭ですが、今回初めて映像作品を発表します。立体視を用いた作品となる予定で、光に満ちた静謐な空間を描く絵画とはかけ離れたように見えるかもしれません。ただ、人の眼と見る対象との間にあるさまざまなもの──光、大気、雰囲気など──への関心は通底します。伊庭の芸術観を垣間見せる作品になることでしょう。
国内外の主要美術館に収蔵されている伊庭の作品ですが、多くのコレクターにも愛され個人の邸宅で大切にされてきた作品も少なくありません。今回は、多くの所蔵者にご協力いただき、新作・近作につながる2004年からの作品を展示します。なかなか見ることができないコレクターのお気に入りの作品群をぜひ美術館でご鑑賞ください。
会期
2019年7月20日(土)~10月9日(水)
会場
東京都美術館 ギャラリーA・B・C
休室日
月曜日、8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(火)
※ただし、8月12日(月・休)、9月9日(月)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開室
開室時間
9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(いずれも入室は閉室の30分前まで)
※ただし、7月26日(金)、8月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23日(金)、30日(金)は9:30~21:00
一般 800円/団体(20名以上) 600円/65歳以上 500円/大学生・専門学校生 400円
「サマーナイトミュージアム割引」
7月26日(金)、8月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23日(金)、30日(金)の17:00~21:00は、一般600円、大学生・専門学校生無料(証明できるものをお持ちください)
「相互割引」
東京都庭園美術館で開催中の「1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと」(会期7/20~9/23)の観覧券(半券可)を本展会場入口でご提示の方は、一般料金から200円引き。
「伊庭靖子展 まなざしのあわい」の観覧券(半券可)を、東京都庭園美術館の正門横の券売所でご提示の方は、「1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと」の一般料金900円が720円になります。
※いずれも1枚につき1名1回限り、他の割引との併用はできません。
「相互割引」
東京都現代美術館で開催中の「あそびのじかん」展(会期7/20~10/20)の観覧券を本展会場入口でご提示の方は、一般料金から200円引き。
「伊庭靖子展 まなざしのあわい」の観覧券(半券可)を、東京都現代美術館のチケットカウンターでご提示の方は、「あそびのじかん」展の一般料金1,200円が1,080円になります。
※いずれも1枚につき1名1回限り、他の割引との併用はできません。
「相互割引」
特別展「コートールド美術館展 魅惑の印象派」の観覧券(半券可)を本展会場入口でご提示の方は、一般当日料金から300円引き(1枚につき1名1回限り)。「伊庭靖子展 まなざしのあわい」の観覧券(半券可)を当館内のチケットカウンターでご提示の方は、「コートールド美術館展 魅惑の印象派」の当日券が100円引き(1枚につき1名1回限り)
主催
東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
特別協力