壁は橋になる
Walls & Bridges

ブログ

つくることは生きること:
シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田
2021年9月7日(火)

パリに国費留学するなど、つくり手として将来を嘱望されたシルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田でしたが、生涯において彼女が自らの作品を世に問うことは一度もありませんでした。作品を売ることにも、発表することにも興味はなし。彼女の表現への欲求――つくることのよろこび――は世俗的なこととはまったく違う次元にあったのです。敬虔なクリスチャンであった彼女にとって、つくることは祈ることと同義であり、妥協のない自らへの問いのようなものでした。(A)

《木々と木の葉》

《木々と木の葉》制作年不詳 ブロンズ 神奈川県立近代美術館蔵

増山たづ子の使命
2021年8月23日(月)

プロが使うような重く操作が複雑なカメラを嫌い、「猫がけっころがしても写る」と勧められたピッカリコニカ(コニカC35EF)を愛用した増山。簡便なカメラの使い手であった彼女ですが、ファインダーを覗いてから、シャッターを切るまでの時間は長かったといいます。「ええと、ええと」と呟きながら、なかなか撮らない(撮れない)その姿は、周りの人にはユーモラスに映ったようでした。ダムに沈む村の運命を憂いて始めた撮影です。万感胸に迫り、涙を流しながらシャッターを切ったことも一度や二度ではありません。撮影は増山が自らに課した使命であり、簡単に済ませられるものではなかったのです。(A)

増山たづ子

東勝吉は木こりでした
2021年8月19日(木)

東勝吉は十代で母親を亡くしたことをきっかけに、木こりとして働くようになりました。素晴らしい木をみつけると、「これは国の宝になる」といって仲間と相談し、切らなかったといいます。山林は生活の拠り所でしたが、自然を大切にする気持ちも強かったのでしょう。
83歳から99歳までの16年間に描かれた風景画――すべて由布院の老人ホームの自室で制作された絵――には、一貫して東の澄んだ眼差しを感じることができます。要介護2、車椅子を必要とする身体で、外出もままならなかった東の脳裏には、かつて山でふれた自然の息吹の忘れがたい記憶(イメージ)があったに違いありません。(A)

東勝吉の展示風景

図録の楽しみ
2021年8月12日(木)

展覧会には図録がつきものですが、その様々な「かたち」を模索する過程で大切なのは、デザイナーさんとの深い協働関係です。今回、担当いただいた松本孝一さんには、東勝吉作品の修復現場をご覧いただき、増山たづ子の展示構成にもご協力をいただきました。完成した図録は松本さん自信作。5人のつくり手ごとに紙を変えたこだわりとチャーミングな佇まい。小さな本につまった作品の魅力をご堪能ください。(A)

Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる 図録

展示の魅力
2021年8月12日(木)

展覧会をつくるうえで学芸員の仕事は多岐に渡ります。当方が最も心躍るのが展示を考える過程。どの部屋に誰の作品を置くのか?作品の高さと間隔は?ケースや壁の色はどうしよう?照明も全体の印象を左右する極めて大切な要素です。本展では互いに全く接点のないつくり手を選びましたが、言葉(解説)ではなく、展示によって、「何故この5人」なのかをご理解いただくことが理想です。(A)

シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田とズビニェク・セカルの展示風景

シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田とズビニェク・セカルの展示風景。ギャラリーAは礼拝堂をイメージしました。

<やさしい日本語>ガイドブック『美術館へ行こう』を配布しています。
2021年8月5日(木)

本展では、多くの外国人の方にも気軽にご鑑賞いただきたく「外国籍の方の観覧料は無料(要証明)」としていますが、さらに展覧会をわかりやすくご紹介するため、東京都渋谷公園通りギャラリーと連携して、<やさしい日本語>ガイドブック『美術館へ行こう』を作成しました。

<やさしい日本語>は日本語を学習中の方に伝わりやすい日本語で、日本語教育アドバイザー監修のもと作成いたしました。在日外国人の皆様をはじめ日本語を学習中の方だけでなく、お子さんにもご利用いただけます。

<やさしい日本語>ガイドブック『美術館へ行こう』

詳細はこちらの「美術館へ行こう 公式サイト」をご覧ください。
https://www.rekibun.or.jp/yasashii2021/

・配布場所
東京都美術館、東京都渋谷公園通りギャラリー、都内区市国際交流協会、外国人支援・国際交流関係各所、都内の日本語学校など
※配布にご協力いただける日本語学校等の方は presstobikan.jpまでご連絡ください。

・ダウンロードもできます。
https://www.rekibun.or.jp/yasashii2021#anchor1-2

・音声でも聞くことができます
https://www.rekibun.or.jp/yasashii2021#anchor3

<やさしい日本語>で上野と渋谷、2つの美術館を巡って楽しめます。このガイドブックで紹介している、東京都渋谷公園通りギャラリーの展覧会もあわせてお楽しみください。

アール・ブリュット 2021特別展 「アンフレームド 創造は無限を羽ばたいてゆく」
7月17日(土)〜9月26日(日)
https://inclusion-art.jp/archive/exhibition/2021/20210717-88.html

アール・ブリュット 2021特別展

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