「フィン・ユールとデンマークの椅子」の企画の出発点は、2012年のリニューアル・オープン時にまでさかのぼります。
東京都美術館は2010年から2年にわたり実施した大規模改修で、中央棟の1階(ミュージアムショップの上階)に、来館者のための休憩コーナーを新設しました。(現在の「佐藤慶太郎記念 アートラウンジ」)
ガランとした空間を目の前にして、来館された皆様にゆったりとした時間を過ごしていただける居心地のよいスペースにするためには、どんな設えがよいか、どんな家具を置いたらよいか、改修工事を担当した前川國男建築設計事務所の担当者と東京都美術館の担当者で何度も検討を重ね、その結果選んだのが、フィン・ユールをはじめとするデンマークの椅子やテーブルだったのです。
実際に家具を配置してみると、東京都美術館の建築と北欧家具の親和性の高さと同時に、空間の印象を一変させる家具の力にも驚かされました。とりわけフィン・ユールの椅子の座り心地のよさと、彫刻のように繊細なデザインの美しさは抜群でした。このときの経験が原点となり、フィン・ユールの椅子にスポットをあてた展覧会の企画が生まれました。