連携展無料
2016年11月26日(土)~12月18日(日)
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大谷省吾(東京国立近代美術館 美術課長)
去年より応募数がちょっと減ったのが気になっていますが、応募される企画の中身はバラエティーに富んでいます。ここのところ、非常にバラエティーに富んだ面白い展示ができていて、今後も定着していってもらえたらいいなと思います。審査会の合間にも話題になったのですが、作品は面白そうだけれども、全体をまとめるコンセプトの説明があまりうまくなく、損をしているグループもあるのかなという気がしていて、そこら辺をもっともっと練って出していってもらえたら、今後いいのではないかというふうに感じました。
野地耕一郎(泉屋博古館 分館長)
今回、日本画のグループが2つ入った。どちらのグループも2回目の挑戦で入っており、早い達成といえる。今の日本画のあり方に危機感みたいなものを持っているということが、ひしひしと伝わってきた。何かアクションをしたいという、気持ちのあらわれが出てきたというふうに思いますね。それから、今回は選ばれなかったが「1年3組 ずが山こうさく」のグループに僕は期待をしていて、これはやりようによってはすごく面白くて、村上隆みたいになる可能性もないわけではないだろうと。次回どういうふうにブラッシュアップされるかが楽しみなところなので、諦めずに出してきてほしいですね。
大橋修一(埼玉大学 名誉教授)
応募数が去年に比べて足りなかった点は、これからのひとつの課題だと思います。東京都美術館がどういうものを求めているかが出品者のみなさんに浸透してしまって、枠が既にできあがってしまっている。ですから、今後このセレクションに参入できないとか、そういうひとつのカテゴリーみたいなものが、出品者にできあがってしまったのかなという印象をもっています。今後、これらを踏まえて都美としてはどういう工夫をすればいいのか、あるいはどういうしかけが必要なのかを考える必要があるのではないかと思います。
もう一点、大谷先生がおっしゃったように、コンセプトと実作の整合性というのが希薄になっているという点も問題です。出品者にはもう少し地道にやって、煮詰めて練ったものを出していただきたい。そういうお願いをしたいと思います。
真室佳武(東京都美術館 館長)
今回初めて台湾のグループが入り、今後どういうふうに影響を与えていくか興味があります。新たなケースだけに、グループと十分に話し合いながら進めていきたい。公募展とは違う何か、新しい表現を強く打ち出していく、それがグループ展の良さでもあると思うのですが、今回は去年よりも応募数が少なかった。その故ではないが、今回は工芸グループとか日本画のグループに偏ったかなという感じはします。様々な表現活動をバランスをとりながら紹介できる場として、グループ展が発展していければと思っております。
南嶌宏(女子美術大学 教授)
応募数は去年より少なかったかもしれませんが、ちゃんと質があるいいグループが選ばれたと思います。今後は、例えば、審査会後すぐに記者発表をするといいと思うのです。来年度11月に展覧会をするグループがこういう審査委員のもとで選ばれたという写真が1枚載るだけでも、「俺たちもあそこで来年やってみたい」ということになる。東京都美術館は俺たちには無理だ、なんて思っているグループに対しても、そうじゃないよ、おいで、君たちのために開いているよ、というメッセージの発信になって、美術館と応募する作家の関係も変わっていくんじゃないか。今回選ばれたグループの展覧会を楽しみにしたいと思います。
*第1回~第5回グループ展の審査委員を務めていただきました南嶌宏氏は、平成28年1月10日にご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。上記の講評は、審査会当日の南嶌宏氏の講評内容に基づくものです。
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