《黒い太陽》
1967-69年 スウェーデン産花崗岩
国立国際美術館蔵
©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum /ARS,NY/JASPAR, Tokyo E3713
米国のシアトル市に設置されている同名作品の習作です。《黒い太陽》(1969年)は、香川県高松市牟礼町の石匠である和泉正敏(1938-)による本格的な制作のサポートが始まった記念碑的作品であり、ノグチの代表作。本作品はシアトル市の小型版であり、石の産地も異なりますが(シアトルのものはブラジル産)、ノグチが得意とした有機的な曲線による、エネルギーの塊のような共通する魅力にあふれています。
この作品はカーソルを合わせると拡大可能です
《ヴォイド》
1971年(鋳造1980年) ブロンズ
和歌山県立近代美術館蔵
©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum /ARS,NY/JASPAR, Tokyo E3713
Photo: SAITO Sadamu
仏教用語でもあるヴォイド(虚空)は「何も妨げるものがなく、すべてのものの存在する場所」という意味をもちます。この禅的なイメージに魅かれたノグチは、高松市牟礼町に仕事場を構えた直後の1970年から、さまざまな素材と大きさの連作を手がけました。高さが10mを超える巨大ヴォイドを反核の象徴としてニューヨークに設置したいとも望んでいました。うねるような力感は生命力に溢れ、見る角度によっては官能的でもあります。
この作品はカーソルを合わせると拡大可能です
「あかり」による大規模なインスタレーション
(イメージ)
Photo: SAITO Sadamu
1951年の来日時、岐阜提灯から発想を得て制作が始められた「あかり」は、太陽と月に見立てた柔らかな光そのものが彫刻であるという、ノグチのライフワークとなった照明のシリーズです。約30年の長きにわたり、200種類ものヴァリエーションが制作されました。150灯もの「あかり」によるインスタレーションを展示室の中心に据え、周囲に1940年代から80年代の作品を配し、回遊式の会場を構成する予定です。
この作品はカーソルを合わせると拡大可能です
《プレイスカルプチュア》
1965-80年頃 鋼鉄
イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)での展示風景。本展では新規製作したものを展示[茨城放送蔵]
Photo: Nicholas Knight
ノグチは生涯を通じて遊園地の建設プランをもっていました。「大地を彫刻する」というその最初の構想は1933年の《プレイマウンテン》にまで遡ります。子どもたちが空間のなかを自由に駆け回り、遊びを通じて「世界との出会い」が育まれることを切望していたのです。ノグチは大型の遊具の制作も手掛けています。色鮮やかで力強く、かつ軽やかなフォルムの本作には、ノグチの情熱と揺るぎない信念が込められているかのようです。
この作品はカーソルを合わせると拡大可能です
《フロアーロック(床石)》
1984年 玄武岩
イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)
©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum /ARS,NY/JASPAR, Tokyo E3713
Photo: SAITO Sadamu
多面体を構成する直線と曲線の絶妙な組み合わせからなる本作品は、二つの玄武岩が間隔を空けて置かれています。丁寧に研磨された石肌は深みのある墨茶色であり、刃文のような模様が浮かんでいます。晩年のノグチは牟礼において、石匠の和泉正敏とともに多くの石の彫刻を手がけました。本作品は、そのなかでも凛とした一種独特の造形的な緊張感に満ちており、妥協を許さぬノグチの厳しい審美眼が感じられます。
この作品はカーソルを合わせると拡大可能です
《無題》
1987年 安山岩
イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)
©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum /ARS,NY/JASPAR, Tokyo E3713
Photo: SAITO Sadamu
江戸時代の豪商宅を移築し、住まいとした「イサム家」の庭に置かれているもの。見る位置によって姿が大きく変わる最晩年の作品です。自然の摂理の賜物である石の原型(エレメント)が明らかにされるがごとく、優美なフォルムが見事に彫り出されています。二つの石の組合せに見えますが、一つの石から成ります。自然光などの諸条件によっても印象は驚くほど変化し、例えば、雨に濡れると、色と質感がまったく違うものになります。
この作品はカーソルを合わせると拡大可能です