
ヴィルヘルム・ハマスホイ
《室内》
1898年 スウェーデン国立美術館蔵
Nationalmuseum, Stockholm / Photo: Nationalmuseum
1897年10月から翌年の5月まで、ハマスホイはロンドンに滞在した。本作に描かれているのはロンドンの仮住まいの室内である。しかし、背を向けた女性や簡素な家具調度の設え、室内に注ぐ穏やかな光、静謐な雰囲気といったモティーフや表現は、自宅を描いた室内画に通じている。
ハマスホイは、「ロンドンに住む裕福なスウェーデン人」が彼の作品を求めていることを耳にし、まだ見ぬ顧客のため本作を描いた。ロンドン滞在が終わりに近づく頃、その「顧客」を心待ちにしていたハマスホイのもとを、スウェーデン人実業家ルーヴェンアードレルが訪れて、本作を購入していった。
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ヴィルヘルム・ハマスホイ
《農場の家屋、レスネス》
1900年 デーヴィズ・コレクション蔵
The David Collection, Copenhagen
描かれているのは、1900年の夏にハマスホイと妻のイーダが仮住まいしたレスネスの農場の家屋。夏の眩しい光の中で、黒い藁葺き屋根が、白の漆喰壁と清澄なコントラストをなしている。煙突からまっすぐに立ち上る煙は、そこが無風であることを教えてくれる。明澄さと簡潔さ、そして光と影の繊細な相互作用が結晶した本作は、ハマスホイの芸術的志向をもっとも明確に示す作例の一つといえるだろう。透明感のある明るい光に照らされた農場の家屋は、まるで光のみがそこの住人であるかのような、どこか非現実的な雰囲気を漂わせている。
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ヴィルヘルム・ハマスホイ
《若いブナの森、フレズレクスヴェアク》
1904年 デーヴィズ・コレクション蔵
The David Collection, Copenhagen
ハマスホイが1904年の夏に、シェラン島北部のフレズレクスヴェアクに滞在して描いた風景画のひとつ。薄暗い森の中に注ぐ柔らかな光が、灰色と緑、茶色の繊細かつ豊かなニュアンスで表されている。一方、平面的に描かれた暗く細い幹は、逆光の中で奇妙な存在感を示し、傾斜した地面はどこか不安定な印象を与える。ハマスホイは、いくつかの例外を除いて、自然の中にイーゼルを立て、実際の景色を見ながら風景画を制作した。しかし、本作のおぼろげな情景は、自然観察に基づくというよりも、記憶の中の風景のような、非現実的な心地よさを感じさせる。
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ヴィルヘルム・ハマスホイ
《カード・テーブルと鉢植えのある室内、ブレズゲーゼ25番地》
1910-11年 マルムー美術館蔵
Malmö Art Museum, Sweden
描かれているのは、ブレズゲーゼ25番地の自宅の室内である。奥行きのある空間を描くことが多い晩年のハマスホイ作品の中で、本作は、浅い空間にモティーフを装飾的に配す、1890年代末から1900年代半ば頃までの室内画の特徴を備えている。この平面的な画面構成は、テーブルの上に置かれた鉢植えの有機的なフォルムを際立たせるためであろう。一方で、温かみのある繊細な色彩は、1900年代後半以降のものである。洗練された造形感覚と円熟した画家の感性が融合した本作は、ハマスホイ後期の室内画の中で、最も完成度の高い作品の一つである。
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ピーザ・スィヴェリーン・クロイア
《スケーイン南海岸の夏の夕べ―アナ・アンガとマリーイ・クロイア》
1893年 ヒアシュプロング・コレクション蔵
© The Hirschsprung Collection
クロイアは1890年代に、画面全体が夏の夕暮れの青い色調に包まれた絵画を制作している。本作に描かれるのも、夕べの淡い光の中で浜辺を散歩する妻マリーイと、スケーイン派の象徴的な画家アナ・アンガの姿である。この地を訪れた当初、クロイアは過酷な自然環境の中で生きる漁師たちの姿をよく描いた。しかし、彼の関心は徐々に芸術家仲間との交流と、スケーイン独特の景観、とりわけその光へと移っていく。抒情的で美しいクロイアの“青の絵画”は、芸術的かつ風光明媚な場所というスケーインのイメージ形成に寄与し、さらに多くの人々をこの小さな漁師町に惹きつけた。
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ヴィゴ・ヨハンスン
《きよしこの夜》
1891年 ヒアシュプロング・コレクション蔵
© The Hirschsprung Collection
クリスマス・イヴの日のヨハンスン家の様子である。背を向けた画家の妻マータとその幼なじみ、そして夫婦の6人の子どもたちが、蝋燭(ろうそく)の灯りにきらめくクリスマス・ツリーを囲んでいる。画面奥の長男フレツが左手を繋いでいるのは、ヨハンスン自身だろうか。集まった家族や友人が手を取り合い、歌ったり踊ったりしながらツリーの周りを回るのは、今も続くデンマークの伝統的な風習である。本作は、家庭的なヒュゲをこの上なく暖かく、そして美しく描き出したイメージとして、デンマーク人に親しまれてきた。
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