
クロード・ロラン
《エウロペの掠奪》
1655年 油彩・カンヴァス
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
画面の中央下部ではギリシア神話の一場面が繰り広げられています。フェニキアの王女エウロペに一目惚れしたゼウス。彼は白い牡牛に姿を変えて、侍女たちと花を摘んでいたエウロペに近づき、彼女を連れ去ってしまいます。背景には、暴力的な場面とは対照的に美しい自然が広がります。風が波を立てる様子や大きな木々、洋上の船などが丁寧に描かれ、理想的な風景が生み出されています。17世紀頃まで、風景はこうした神話や聖書の物語の背景として描かれてきました。
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ユベール・ロベール
《水に囲まれた神殿》
1780年代 油彩・カンヴァス
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
ロベールが1760年に訪れた、古代ギリシア・ローマ時代の遺跡パエストゥムにのこるポセイドン神殿が描かれています。さまざまなしぐさを見せる生き生きとした人々が、静かにそびえる古代建築を際立たせています。18世紀の資料を見ると、画家が実際よりも崩れた姿で神殿を描いたことが分かります。この作品が描かれた頃は、各国の貴族や芸術家たちがこぞってイタリアを訪れたグランド・ツアーの最盛期。想像も交え描かれた壮麗な遺跡は、多くの人々を魅了しました。
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ピエール=オーギュスト・ルノワール
《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》
1876年 油彩・カンヴァス
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
19世紀半ばから行われた「パリ大改造」で、パリは近代都市へと生まれ変わります。新しい街並みやそこで暮らす人々の日常を多くの画家が描いていきました。ここでは、喧騒から少し離れた木陰で、男女5人が楽しげに語らう様子が捉えられています。背景の木々も人物も、やさしく穏やかな筆の運びで表され、彼らが幸せなひと時を過ごしていることが伝わってきます。作品裏面の書き込みによると、後姿の女性はルノワールのお気に入りのモデルであったニニ、その後ろから顔をのぞかせるのは画家モネです。
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クロード・モネ
《白い睡蓮》
1899年 油彩・カンヴァス
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
ジヴェルニーに移り住んで10年が経た1893年、モネは自宅に隣接した土地を新たに購入し、庭に自らの理想の風景を造り上げていきました。本作品では、光の反映によって表情を変える水面と岸辺の風景が、緑色を中心としたみずみずしい色彩で表されています。1899年から1900年にかけて、モネは太鼓橋の架かる睡蓮の池をモチーフに18点もの絵画を描きました。1926年に亡くなるまで「睡蓮」を繰り返し描きますが、本作品はその最初期の1点です。
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アンドレ・ドラン
《港に並ぶヨット》
1905年 油彩・カンヴァス
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
帆を乾かすヨットの連なるコリウールの港が、自由で鮮やかな色彩と、リズミカルな筆触で描かれています。色彩の置かれなかった白い帆や水面が、まばゆい日差しをいっそう感じさせます。1905年夏、アンリ・マティスの誘いに応じてドランはこのスペイン国境に近い南フランスの港町に滞在し、ともに新しい表現を探究しました。「フォーヴ(野獣)」と批判された1905年のサロン・ドートンヌの第7室に展示された、記念すべき作品の1点です。
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アンリ・ルソー
《馬を襲うジャガー》
1910年 油彩・カンヴァス
© The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
獰猛なジャガーに襲われた白い馬は、何とも言えない表情でこちらを見つめています。凄惨な場面にも関わらず、青々とした空と深い緑の織り成す密林によって、画面全体は幻想的な静寂に満ちています。「植物園の温室より遠くへ旅行したことはない」と述べたルソーですが、パリの植物園や動物園、図鑑や雑誌などによって、異国のさまざまな動植物に触れることができました。こうした機会と想像力を駆使し、ルソーはあこがれの熱帯を生み出していったのです。
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