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本展でご紹介するのは、表現への飽くなき情熱によって、自らを取巻く障壁を、
展望を可能にする橋へと変え得た5人のつくり手たちです。
彼らにとって制作とは、生きるために必要な行為であり、文字通り精神的な糧というべきものでした。
詩人の吉田一穂(よしだ・いっすい)は「熱情とは砂すら燃やすものだ」と詠いましたが、
彼らのひたむきな情熱も驚くべき強さを秘めていたのです。
5人の生涯に共通するところはほとんどありません。
しかし、その異なる生き様から生まれた作品のアンサンブル──絵画、彫刻、写真、映像──には、
記憶という言葉から導かれる不思議な親和性があるように思われます。
何ら交わることのなかった個の軌跡が、
ともにある世界へと見るものを誘う想像/創造の連鎖。
本展が生きるよすがとしてのアートの深みにふれていただける機会となることを
願っています。